ISBN
9784260011044
作者/出版社
河本圭司 / 醫學書院
出版年代/版次
2012/1
重量:1kg 頁數:272 裝訂:平裝 開數:29.8*21.3 印刷:彩色
序
脳腫瘍の外科においては,単に手術の術式のみならず,解剖・生理・画像・病理・化学療法などを含めた,診断および治療の包括的な知識と技量が必要とされます.しかし,これらの知識や技量をすべてマスターし,脳腫瘍の手術の術者になるのは簡単なことではなく,長い年月がかかります.
そこで,これから脳腫瘍の手術に取り組んでいこうとされている若い脳神経外科の先生方に向けて,まずその足がかりとなるような本ができないだろうかと考え,本書を企画しました.
本書では,忙しくて詳細な手術書を読む時間のない若い先生方にまず脳腫瘍の外科の全体像を手早く理解していただくために,以下のような方針で編集を行いました.
・脳腫瘍の外科に必要とされる基礎的・技術的・臨床的な包括的事項について,そのエッセンスをコンパクトにまとめる.
・時間のない読者のために,見開き単位を基本とし,文章は簡潔にして,できるだけ図を多く用いることで,素早く視覚的に理解できるようにする.
・術中所見は原則としてすべてカラーイラストとし,手術の要点がわかるようにする.
・手術のコツも随所に取り入れる.手術法や考え方は術者によって異なるが,本書ではスタンダードな手術書になるようにする.
・各項目の執筆は,それぞれの分野でのエキスパートの先生にお願いする.
本書でははじめて“脳腫瘍外科学”という名称を用いましたが,これは本書が単なる手術書ではなく,脳腫瘍の外科をひとつの学問としてとらえ,その全般的な知識を解説した書であることを表わしています.
本書を手にとっていただければ,脳腫瘍の外科に必要な知識の要点と全体像が見えてくると思います.上述のとおり脳腫瘍の手術の術者になるには多くの症例と手術経験が必要で,長い年月がかかりますが,読者の若い先生方には本書によって理解を早めていただき,早く脳腫瘍の手術に慣れ親しんでいただければ幸いです.また,一部まれな腫瘍の手術法についても解説してありますので,若い先生だけでなく,ある程度の経験を積まれた先生にも,脳腫瘍の外科の全体像をとらえるために有用な書となっていると思います.
脳腫瘍の手術に取り組まれるすべての先生方にとって,本書が何らかのお役に立てれば,大変うれしく思います.
最後になりましたが,本書の趣旨をご了解いただき,ご多忙のなか快くご協力くださった執筆者の先生方に,あらためて厚くお礼申し上げます.また,解剖や術中所見などそのほとんどをイラストに仕上げていただいたあすか企画の林 健二氏,編集に情熱を注いで下さった医学書院の飯村祐二氏に,深く感謝申し上げます.
2011年3月
河本圭司
本郷一博
栗栖 薫
目次
A 術前
A-I 脳腫瘍外科の歴史
A-II 脳腫瘍の分類と発生頻度
1 分類
2 発生頻度
A-III 画像診断
1 病変を意識した撮像法
2 画像鑑別診断
(1)グリオーマと類似疾患
(2)悪性脳腫瘍における再発,放射線壊死,pseudoprogressionの鑑別と治療
B 術中
B-I 術中モニタリング
B-II 術中迅速病理診断
B-III 術中ナビゲーション
B-IV 脳腫瘍手術における静脈の処理
C 脳腫瘍の手術
C-I 体位
C-II 開頭
1 前頭,前頭側頭,側頭,後頭,頭頂開頭術
2 頭蓋底手術の開頭(前頭蓋底,中頭蓋底)
C-III アプローチ
1 眼窩頬骨アプローチ
2 外側後頭下アプローチ
3 錐体骨アプローチ
4 後頭蓋窩アプローチ(大後頭孔,頚静脈孔)
5 脳室内へのアプローチ
C-IV 顕微鏡・手術器具とその使い方
1 全般
2 下垂体腺腫
3 内視鏡
C-V 新手術法
1 覚醒下手術:eloquent areaの手術
2 光線力学的診断
3 神経内視鏡手術
4 定位的生検
C-VI 各種脳腫瘍の手術
1 グリオーマ
(1)低悪性度グリオーマ
(2)膠芽腫
2 髄膜腫
(1)円蓋部髄膜腫
(2)傍矢状洞髄膜腫
(3)大脳鎌髄膜腫
(4)蝶形骨縁髄膜腫
(5)テント髄膜腫
(6)錐体斜台部髄膜腫
(7)鞍結節部髄膜腫
(8)小脳橋角部髄膜腫
(9)嗅溝部髄膜腫
(10)側脳室三角部髄膜腫
(11)大後頭孔髄膜腫
3 神経鞘腫
(1)三叉神経鞘腫
(2)前庭神経鞘腫
(3)頚静脈孔神経鞘腫
4 トルコ鞍近傍腫瘍
(1a)下垂体腺腫(顕微鏡下経鼻的-経蝶形骨洞的手術)
(1b)下垂体腺腫(内視鏡下経鼻的-経蝶形骨洞的手術)
(2)頭蓋咽頭腫
(3)脊索腫
5 転移性脳腫瘍
6 その他の腫瘍
(1)髄芽腫
(2)小脳血管芽腫
(3)松果体部腫瘍
(4)脳室内腫瘍(神経細胞腫を中心に)
(5)嗅神経芽腫
(6)眼窩腫瘍
(7)頭蓋顔面領域の線維性骨異形成症
C-VII 閉頭
1 頭蓋骨形成と閉頭
2 頭蓋底の修復と閉頭
D その他の治療法
D-I 定位的放射線照射
D-II 原発性悪性脳腫瘍に対する放射線化学療法
D-III 間脳下垂体腫瘍に対する薬物療法
付録 脳腫瘍の治療効果判定
索引